
ベルばらに描かれていない王様の秘密
全ての人間は二種類に分けられる。こういうふうに始まる文章は、教訓めいた割に、内容が大体くだらない。朝の珈琲にクロワッサンをつけて食べる人と、そうしない人とか。コンビニの店員に対して言葉扱いがぞんざいな人と、逆に丁寧な人など。雑な分け方だといえば雑。しかしやはり同じ人間でも、「歴史好き」がいれば、昔の話に興味が全く湧いてこない人もいる。そして自分がそのどちらなのかは、おそらく自分がどんな先生に出会ってきたのかにも大きく左右される。
ところで、移民の多いフランスでは、歴史の教え方が最もセンシティブなテーマである。自分の先祖は植民地だった国に生まれた人が少なくない背景に、世界史はともかく、フランス史をどうやって教えれば、皆は快く勉強ができるのか。そこは先生たちを苛ませる課題である。イギリス軍を追い払ったジャンヌダルクの話はまだマシだとはいえ、大昔にイスラム教徒を破ったカール・マルテルの話に触れる時は、言葉を慎重に選ばないと、ムスリムのいるクラスの中にトラブルが起こり得るのだ。それ以前にアフリカ出身の人はヨーロッパ中心主義にうんざりし、アフリカの歴史を摘要にいれるように政府に働きかけているので、一体何を、そしてどういうアプーロチで勉強すればいいのか、今度は、生徒たちの方が戸惑ってきている。
この緊張した空気を少しでも和らげるべく、ここは是非『フランス史を下ネタで学ぼう』という一冊をレコメンドしたいと思う。革命家の性癖やナポレオンの浮気性の他に、偉大なる人物の知られてない逸話が豊富に集められ、おかげで新鮮な視点から歴史に触れることができる。たとえば、ルイ16世はマリアントワネットと夜の営みをエンジョイしなかったのは有名な話だが、その原因は包茎だとわかると、色々考えさせられる。手術を受けていれば、リア充の王様になっていたかもしれないと。もしかして革命も起こらなかったかもしれないと。でも自分の血を少し流せなかったせいで、国民の血を流してしまった。歴史は恐ろしい。そして何より歴史は楽しい。
著者 : Alain Dag’naud
出版社 : Larousse社
Noisette Press 59号 (2018/12)




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