パリコレはまだ先なのにどうしてパリがこんなカラフルに?

ここ数ヶ月、毎週の土曜日にフランス全国各地、ある種の祭りのように何十万人が集まり、抗議デモや座り込みなどで現況に対して不満を示し、政府に早く改新するように訴えている。税負担の軽減から大統領の辞表までに要求はもはやバラバラ。そのせいか、その運動は革命的のように見えながらも、保守的の要素もなくもない。しかし本性が把握されにくい分、参加者が全員着用している服の眩しい色のおかげでテレビ的には割と目立ちやすい。いわゆる「黄色いベスト運動」。クリスマスまでにどうせ解散するだろうと散々予想されていたが、未だに解説者の注目を引き、政界を揺るがす。

参加者の声に耳を傾けてみると、皆は単純にもっとフェアな社会を目指していることがわかる。地球に優しい生き方は勿論、職場や私生活の充実感も当然だが、何より「ケーキをより公平に分配すること」が求められる。正確にいうと、人口の9割は搾取される間にその残りの1割だけが人生を享受するのではなく、取り残された者が出てこないように現在の働き方や税金体制を徹底的に変えることは望まれる。非常に革命的に聞こえるかもしれないが、所詮綺麗事だと思う人は決して少なくはないので、その少々共産的な発想は満場一致だとは言えない。しかもそのアンチリベラルに反発するために今度は「赤いスカーフ運動」も立ち上がった訳で、どちらかというとパリの道を歩くと、革命の匂いがプンプンするというより、パリジャン達の格好がカラフルになったような印象の方が強いだけかもしれない。結局その激動の行方は全く見えないが、たとえ新たな革命につがらなくても、政府を危機に陥らせた上、我らの働き方や生き方を変えないと息苦しくなることを国民にきちんと意識させたことで、その革命的な役割を十分に果たせたと言えよう。

機械化が進んでいる一方、労働者の仕事量が減りもしない19世紀末にはポール・ラファルグが当時のその状態の不条理さに気づき、『怠ける権利』を書いた。1日3時間以上の労働時間を禁止にし、残りの時間を充実すべきだと提案したラファルグの言い分は戦後の好景気に滑稽なものだと見なされがちだったが、現在、過労死問題や黄色いベスト運動を背景に読み返すと、説得力が凄まじいとは誰も否定できないだろう。

ポール・ラファルグ /著
田淵 也 /訳
出版社 : 平凡社ライブラリー
Noisette Press 62号 (2019/03)

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