
有名な(元)旦那を持つ(元)女子アナが贈る食エッセー。
「日記」という言葉は非常に便利だと思いませんか?
たとえ話ですけれども、どうみてもただの自慢話に過ぎない、味すらない文章だけなのに、「日記」というふうに適当に紹介すれば、その内容はなぜか文学っぽく聞こえる時もあります。
ところで「パリ」という地名も似たようなマジックをもたらします。
女性誌の例でいうと一番分かりやすいですが、パリのこの二文字を表紙に入れるだけで、通常より断然と売れることになるし、花の都と言われがちこの都市の特集は花が枯れてしまって尚、人の関心を引き続けています。
『パリごはん』では、一年間の間に著者はどういうものを食べてきたのかが書かれています。パリですから、きっとエスカルゴやオニオンスープのようなベタなネタが取り上げられるだろうと思ってページをめくると、最初にでてきた料理はおせちでした。
別におせちを食べるのは決して悪いことではないですが、著者がフランスにいながらもやたらに日本食にこだわるようで、やはりそれに違和感を感じました。とはいえ、帰国する際に必ずいくという、実家の近くの中華で好んで食べる担々麺のエピソードも、逆に謎すぎて要らないと思いました。
それはまだマシだとして、片言しかきっと喋れないのにわざとフラ語の単語をちょいちょい出している箇所や、如何にも駐在の上質そうな生活っぷりを何気にアピールしようとする箇所も、正直に要らないとは言いたいところですが、それらもばっさりいきますと、それこそ著者には、タイトルの パリの二文字でしか日本人読者を惹きつけられなくなりそうです。この二文字なら、十分か。
著者 : 雨宮塔子
出版社 : 幻冬舎文庫
Noisette Press 50号 (2018/03)




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