
戦後フランスを爆笑させた名優
世の中には二種類の人間がいる。
フランス映画を観たことのある人間とそこまで暇がない人間。
まぁ忙しい人は放っといて、前者の中に決して少なくない割合を占める日本人にフランス映画のイメージは何ですかと聞いてみたらだいたいどんな返事が返ってくるのは予想がつく。「とにかくテーマがなんか難しい」と眉をひそめながらストレートに言う人がいれば、「キスシーンが多い」や「俳優さんがなぜかすぐ脱ぐか、すぐ脱がされる」と赤らみながる語る人も絶対にいるだろう。
確かにフランス映画の中で、何回見返しても分かりやしない作品は数えきれないし、恥ずかしげもなく裸になる女優さんに指示を出すのは全裸監督の西村とおるじゃないかと疑わせるぐらいエロいシーンも普通にスタンダードのように感じるけれども、これぞフランス映画だと定義してしまったらただの偏見に過ぎないだろう。当たり前の話だが、粗筋をたった1行で要約できる超分かりやすい映画も星の数ほどあるし、乙女がハマっても心の純粋さに支障をもたらさない映画もきっとあるが、どちらかというとどっちも勧めづらいかな。
今回はこの場を借りて、ある意味国民的アイドルだったアランドロンやジャン=ポール・ベルモンドと同じ時代にフレンチコメディーのキングとして活躍していた俳優のことを紹介しようと思ったのだ。その名はルイ・ド・フネスで、彼は多くの出演作を残している。フランス人ならば誰もが少なくとも一本か二本を絶対に観ているし、その演技の凄さに抱腹絶倒させられたことはあるだろう。少々古いので日本語版はまだ配信されてないかもしれないが、フランス映画が苦手な人やフランス語に自信のない人こそこの俳優の作品をおすすめにしたい。なぜかというと単純に元気が出るし、何より言葉を超えてジェスチャーや顔芸で笑いのセンスを極めた俳優がいるとしたらチャップリンの次に間違いなくルイ・ド・フネスの名前は挙げられるからでしょ。
著者 : 中条省平
出版社 : 集英社新潮
Noisette Press 69号 (2019/10)




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