銅像に落書きする前に歴史を知ろう

6月ははっきり言って、中途半端な時期である。まだ春の涼しさが残る中、真夏の暑い気配を感じられることもあるので一体どんな服を着ていればメトロで目立たないのかは毎年パリジャンの悩みどころである。無理はない。フランス国民は個人主義だと思われがちでも自ら打たれる杭になろうとする者は少ないもんだ。

6月というと、こっちではもちろん学校の終わりと逆に9月まで続く長い夏休みの始まりを真っ先に連想させる。「フランス人はよく休むよねぇ」と日本人にしょっちゅうつっこまれるのだが、それは多分、夏の間に休暇をまとめてとっていわゆるバカンスに行く人が多いイメージを持たれるからだ。ただ昔からそういう習慣はこちらにあったのかといえば、・・・答えは余裕でウィである。少なくとも戦前から大抵のフランス人はバカンス・デテ(夏休み)をとることにしてる。正確に言えばフロン・ポピュレール(フランス人民戦線)という連合政権以降、「よく休む者はよく働く者だ」の概念の下で、国民が休暇を充実させるように促される。戦中にはさすがにバカンスどころではなかったが、8月15日は日本人にとって終戦記念日として特別な日であると同様に、6月18日はフランス人には他の日と違う響きを持つのだ。

1940年のその日にイギリスに亡命したシャルル・ドゴールが当時のBBCを通じてナチスへの徹底抗戦を呼びかけた。当時はすでにドイツに占領されかけた祖国に新たな希望を芽生えさせたことで、彼は現実の英雄になったのに、この時代になって「ドゴールは空港の名前だけじゃないんだ」とフランスに来てから恥ずかしい思いして欲しくないので是非、今度の渡仏前に自伝をはじめシャルル・ドゴールに関するエッセーや本を読んでほしいです。フランスという国自体が消えそうだった頃に彼はどんな行動をとったのかが真のリーダーを求める日本人にも参考になるかも。


著作 : 『シャルル・ドゴール : 民主主義の中のリーダーシップへの苦闘』
著者 : 渡辺啓貴
出版社 : 慶應義塾大学出版会
Noisette Press 78号 (2020/07)

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