
駐日ベルギー大使の娘はトイレ掃除しかできぬOL ?!
路上でやたらに立ちションする小僧とコクのあるビールやワッフルの旨さでどんな国が一番有名なのはもはや一目瞭然である。確かに週末の夜はセーヌ川をトイレ扱いする奴は少なくもないが、一応ビールやワッフルなるとフランスよりベルギーの方が勝ちだとはもはや満場一致。隣国だとはいえ、フランス語が通じるから外国感が薄い分、共感できる文化的な要素が多い。
同じ言葉で歌っているからフランス人だろうと勝手に思われたストロマエという若き天才は結局ベルギー人だったように、ここ20年近く毎年必ず一冊ベストセラーを出すライタターはいるのだが、その女性はフランスの文豪だと勘違いする人もきっと星の数ほどいるだろう。
しかしアメリー・ノートンという彼女は実は大使として勤められた自分の父の仕事の都合でなんと・・・ベルギー人でありながらフランスではなく日本に生まれ育ったらしい。デビュー作からしっかり毎年彼女の本を読んでいれば日本に触れるエピソードは妙に多かったので、他の国より日本と特別な絆があることが明らかだったが。
特に『畏れ慄いて』というちょうど20年前に出版された作品を読むとどれだけ日本という国は作者に影響を与えたことがわかる。大学卒後、再来日したノートンの経験に基づいた物語であるからだ。白人女性の主人公が日本にある大企業に就職し、気まぐれの上司からの不条理な指示や同僚のつめたい態度などに謎なくらいに惑わされる話。外国人OLとしての日々が面白く描かれ、フランスで相当売れた上、映画化もされた。その作品以外に『殺人者の健康法』や『チューブな形而上学』もかなりおすすめ。題名が少々固そうに見えるかもしれないが、イギリス人女王と同じくらい風変わりな帽子で知られてるノートンは文才だけではなく抜群なユーモア感に恵まれてるので、その本たちを手に取った方には愉快な読書時間となることは間違いない。
著者 : アメリ・ノートン
出版社 : 作品社
Noisette Press 71号 (2019/12)




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