
ヤミ金、女たらしに大食いーそれでも参考になるバルザック
外出禁止の間に、ランニングをはじめ運動は普段より限られていた分、家でだらだらする時間も多かった訳で、毎日消化しきれぬカロリーをずっと平気で取りつづけたフランス人はなんと平均的に2ヶ月で2キロ太ったらしい。
当然といえば当然。毎日のようではなく毎日実際にバゲットやチーズをばくばく食えば、そりゃパリジェンヌもデブり、パリジャンもメタボる。状況も状況ですし、ストレスでヤケ食いしたくなる気持ちもわからなくもない。
しかし手作りのパンや定番のケーキに不可欠な小麦粉はどこのスーパーでもバカ売れしたことと毎日生中継で放送される料理番組の視聴率の高さに示されるように、普段ビストロなどで外食しまくるパリ市民の中には手料理に目覚め、お家時間をキッチンで楽しく過ごした人が少なくなかった。
料理以外に語学勉強や小説執筆に挑戦する人も多かったようだが、結局家に引きこもるとモチベーションは容易に上がらないことに気づくのは時間の問題でせっかく期待を託されたペンも知らないうちに擱きっぱなしになってしまう。
聞こえだけがいいテレワークで今必死に生活しながらライターを志す人がいたら今度おすすめしたいのはバルザックの全集。ユーゴーと並んで19世紀フランス文学を代表するバルザックは文才に恵まれ『人間喜劇』という前代未聞の作品を執筆した。ほぼ百冊の小説で成り立ったあれは「超」だけで表現しきれぬほど長い物語で登場人物が多い分、当時のフランスの風俗を正確に描写してて文学好きにはたまらない作品です。ところでバルザックが借金の取り立て屋に追われたせいで寝床を転々としながら一生を送ったことで有名だが一押ししたい理由はそこにある。借金返済するために外に出ずに1日に18時間以上執筆作業にしょっちゅう没していた彼の集中力は凄まじかったからだ。一仕事を片付いたら物欲・食欲・性欲を必ず満たそうとしてた彼の勢いも尋常ではなかったけれども、過労死で他界したと思われる彼の全てを真似しない方が賢明かもしれぬ。
著者 : バルザック
出版社 : 藤原書店
Noisette Press 77号 (2020/06)




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