フランスで革命的だと賞賛されたこのアイデアは、日本で常識?

フランス人は英語が苦手な分、母国語を非常に大事にする国民だとなぜか誤解されがち。実際、観光でもこの国に来たことのある人はだいたい分かると思うけど、よっぽど田舎っぽい所まで冒険に出ない限り、中学生並みの英語力があれば十分に通じる。言葉の壁にはそれ程ぶつからず、たいていのことはスムーズに行けるはず。

逆に、国際的な言語だと言われた英語からフランス語に入るような単語は年々に多くなり、母国語を大事にする国民にしては外来語を受け入れすぎているような気がしなくもない。ファッションやITをはじめ、多種多様な分野は英語圏の流行に左右される中、料理の世界も当然、例外ではない。

季節ごとに流行りの服が変わると同様に、食習慣の流行りも変わり、女性誌などに目を通したら、コンフォート・フード、フィンガー・フード、なんちゃらフォード、半分外来語、半分新造語みたいな単語がいつもびっしり並んでる。

目障りレベルまではいかなくても、初めて読む人にはまさにちんぷんかんぷん。

今年の春はどうやらバッチ・クッキングという言い回しがキテるようで、どこの本屋の料理本コーナーに行っても、目にするのはそればかり。『バッチ・クッキングの革命』や『10分以内で分かるバッチ・クッキング』などなど。新しい宗教なのかなと思わせるほど、「バッチ・クッキングで人生は変わる!」というふうに大げさにアピる帯や表紙も多い。さすがにそこまで好奇心くすぐられたら、どんなものなのかはきになるけど、どうやらそれは新しい料理の作り方というより、日本語の「作り置き」に相当する言い回しということらしい。元々英語でそのままフランスでも使われるようになり、今話題になってるキーワードである。

フランス人はラテン系らしく、怠け癖のひどい民族だとよく言われる。それも誤解ですと必死に弁護しようとするところだったが、よく考えたら週末に一週間分の飯をまとめて作る時点に、楽チンに走る習慣が完全に現れてしまう。そもそも、話題性に惹かれ、バッチ・クッキングの本を二冊買ったのに、未だに食習慣を改善してない積ん読派の自分には説得力がなさすぎる。


Noisette Press 65号 (2019/06)

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