
フランス人のスパイ像は、英国紳士よりオカマかナンパ師?
ハリウッドのある有名な映画シリーズの影響で「スパイ」という単語を聞いた人はだいたい007、又の名をジェームス・ボンドのことを思いつくだろう。スーツ姿が非常に似合う、冷酷な面の持ったその凄腕のダンディーは、老若男女を魅了させるほどイケてるキャラで、世界的に非常に有名だが、実はフランスにも、ある意味、彼に負けないくらい個性派のスパイはいなくもない。
まずはボンドと同じく、いわゆる戦後のスパイ小説の主人公として出ているシークレットエージェントである「OSS117」を紹介したい。美女と同じくらい親父ギャグが好きな彼は冷酷な表情どころか、常にふざけているので、一見、ボンドのダメバージョンに見えなくもないが、一応「お国」のために活躍し、与えられた使命を全て果たす超デキる男である。その辺は少々北条司の冴羽獠に似ているかもしれない。数年前はフランス人俳優で初めてアカデミー賞をもらったジャン・デゥジャルダン主演の劇場版が出てとんでもない人気を得たし、セリフも流行った上、来年は続編が出る予定なので要チェック。
もう一人は実在したにかかわららず多くの作品に出てるせいで18世紀、王様のために本当に「お勤め」したこと自体を忘れてしまいそう。シュヴァリエ・デオンという名前で知られているが性別は不明だというか人生の前半を男性として、後半を女性として行きていた訳で性別は今でも定かではないし歴史家の議論百出である。自分は女性として生まれ、男として育ててもらったというのは本人の言い分だが、フランス革命が背景になってるのを考えると、漫画好きの日本人ならば何か妙に頭にぴんと来るはず。池田理代子の代表作である『ベルばら』の主人公のオスカルも男装していてまさにそのデオンからインスピレーションされるからだ。『ベルばら』はこちらでは『レディー・オスカー』として知られてるけど、オスカーは男の名前であったせいで、題名から割と紛らわしい作品である。
何よりデオンは女性でもスパイ人生はカッコよくキメられるものだと証明したから、次のボンド役が女優がやることに異議のある人にも思い出して欲しい。
著者 : 窪田 般彌
出版社 : 白水社
Noisette Press 51号 (2018/04)




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