
全仏が泣いた!ひとりぼっちの子供の物語
『レミーの美味しいレストラン』が世界中の観客にネズミがパリの飲食店に出入りしているかもしれないという最悪のイメージを植え付ける以前に、実は全く別な作品で「レミ」という名前が幅広く知られることになった。
それはエクトール・アンリ・マロの手によって書かれた『サン・ファミーユ』というフランス文学の名作を原作にした日本のアニメである。
『家なき子レミ』という題名だが、90年代頭あたりにフランスのテレビに放映された当時は、視聴率が70パーセントを超えたと言われるくらい日本のアニメが大ブームになっていた。ただしその頃のたいていのフランス人にとって「アニメ」はその内容がどうであれ、完全に「子供が見る」ものとして見なされていた訳で、『北斗の拳』みたいに決して子供向けではないアニメまでも、子供がテレビを観る時間帯に容赦なくガンガン流されていた。
当然な結果といえば当然だが、そういう型破りなアニメは子供から人気を得られた分、大人からとんでもない反響を招いた。放送中止を必死に呼びかけた政治家もいた上、「日本が作り出したくだらないもん」に相当するjaponiaiseriesという造語が出るほど、社会的な現象になっていた。
自分がその主人公と同じ名前を与えられたせいか、当時話題作の中で『家なき子レミ』は他のアニメと違う色のように見えた。貧しいながら捨て子として育ってきたレミが、ある日、実の母に会いたくてパリまで大冒険に出る。ストーリーはどんな感じかといえば、多種多様な試練を乗り越えようとしながら、人生の辛さを思い知らされる子供の物語である。一見、少年漫画にありがちな設定のようだが、そのあまりにも惨めすぎる運命や、登場人物の死ぬ場面の切なさに、その頃の誰もが衝撃をうけた。まだジブリ映画がちっとも知られていない当時のフランスでは、アニメを観て涙を流せるのだと驚かされた大人は少なくないはず。そしてきっと自己紹介をするたびに、「家みつけた?」と同年代からからかわれたレミも僕だけじゃないはず。




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